研究会(研究発表会)
第64回(富山)
講演要旨
ITS-rDNA領域を利用したPCRによるスイカ炭疽病菌の検出
林里沙1・濱田亜矢子2・安達直人2・古賀博則1・高原浩之1(1石川県立大・2石川農研)
本研究では、石川県で近年発生しているスイカ炭疽病の早期発見のための病原菌検出技術の確立を行った。スイカ発病株より分離したColletotrichum 属菌のITS-rDNA領域の塩基配列を解析したところ、ウリ科炭疽病菌C. orbiculareと同じグループに属した。そこで、この配列を利用してスイカ炭疽病菌を特異的に検出するPCRプライマーを設計し、宿主の異なる炭疽病菌14菌株を用いてPCRを行った。その結果、C. orbiculareのほか、マメ科牧草に感染するC. trifoliiおよびアオイ科草本に感染するC. malvarumにおいても予測される328 bpのバンドが検出され、これら菌株間におけるITS-rDNA領域の塩基配列の相同性は99 %であった。一方、スイカ炭疽病菌胞子を人工的に接種した植物体からの菌検出を試みたところ、胞子濃度を102個/mlまで希釈した接種区1日目の無病徴時においても炭疽病菌の存在が確認された。以上のことから、本研究で設計したプライマーは、スイカ炭疽病菌の検出に利用できるものと考えられた。現在、菌汚染土壌を人工的に調整し、炭疽病菌の検出条件を検討している。