研究会(研究発表会)

第64回(富山)

講演要旨

イネいもち病菌を接種したイネ葉鞘でのエクスパンシン発現量の経時的変化

古田興史・田中栄爾・古賀博則(石川県立大)

イネいもち病菌をイネ葉鞘へ接種し、リアルタイムRT-PCR法を用いて時間経過ごとのエクスパンシンmRNAの発現量を測定した。エクスパンシンとは植物細胞壁に存在するタンパク質で、細胞壁を弛緩させることが知られている。イネいもち病菌は侵入時にオーキシンを産生すると考えられるため、それに応じてイネがエクスパンシンを発現する可能性がある。イネのエクスパンシンは50種以上存在するため、対象とするエクスパンシンを15種(EXPA1〜10、EXPB1〜5)選抜した。イネいもち病菌北1菌株を感受性イネ系統ZTSの葉鞘に接種して、0、8、16、24、48、72時間後に採取し、全RNAを抽出した。mRNA発現量測定の結果、EXPA4、EXPA6、EXPA7のイネいもち病菌侵入時の発現量が0時間採取時の発現量と比較して相対量で10倍以上の増加が認められた。EXPA4、EXPA6、EXPA7はイネ葉鞘でジベレリンに応答することが知られているため、植物ホルモンに応答していることが示唆される。今後、これらのエクスパンシンが、イネいもち病菌由来のオーキシンに応答しているのか、病原性に関与するのかを明らかにしていく必要がある。

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2013.9.20更新