研究会(研究発表会)

第64回(富山)

講演要旨

抵抗性系統(Pi-zt遺伝子)の穂首は、いもち病に対してどの部位で感受性から抵抗性へと変わるのか?

中山亜美1・高原浩之1・加藤智朗2・西内 巧2・古賀博則11石川県立大・2金沢大)

真正抵抗性遺伝子Pizt遺伝子を持つ抵抗性系統ZTRは、イネいもち病菌北1菌株に対して葉身ではまったく発病しないのに対し、穂ではまれに発病することが報告されている。しかし、ZTRが穂のどの部位で発病するのか(あるいは抵抗性となるのか)については明らかでない。そこで今回は、北1菌株に対して抵抗性のZTRと、感受性の同質遺伝子系統のZTSを用いて、穂首の基部から穂くび節までの間を1〜2 cm間隔で点滴接種し、接種部位を光顕及び電顕観察した。その結果、ZTRおよびZTSともに出穂前〜出穂5日目の穂首では基部から4 cm上部までは接種穂すべてに胞子形成が認められた。また、いもち病菌のDNA量を指標に菌の増殖量を測定したところ、基部から2.5 cm上部の位置に接種した試料においてZTRおよびZTSともに多量の菌体の増加が認められた。一方で、穂首基部から8 cmより上部ではZTSでは出穂後でも胞子形成が認められたのに対し、ZTRでの胞子形成は認められなかった。これらのことから、ZTRの穂首基部から4 cm上部までは感受性であり、出穂後には基部から8 cm以上離れた上部は抵抗性となることが明らかとなった。

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2013.9.20更新